ニコチンが深い眠りを妨げる

 

さて、ニコチンの覚醒作用と鎮静作用について説明してきましたが、なんとなく理解して頂けましたか?

 

ニコチンはアドレナリンの分泌を促します。数秒で脳を覚醒させ、むやみに興奮させます。カフェインの覚醒効果が比較的ゆっくりと現れるのに比べ、ニコチンの覚醒効果は即効性です。

 

また、ニコチンだけがタバコがもたらす睡眠の害ではありません。タバコを吸うことによって喫煙者は一酸化炭素を大量に摂取します。一酸化炭素は酸素を奪い、ビタミンCを浪費させ、新陳代謝を阻害します。酸素・栄養不足から体力が回復せず、疲れがとれないのです。

 

さらにヘビースモーカーの場合だと、ニコチンの覚醒作用によって寝付きが悪くなるだけでなく、ニコチン切れによって夜中でも目が醒めてしまうことがあります。この際、眠るためにタバコを吸えば、元の木阿弥です。つまり、ヘビースモーカーはタバコを吸うことで、また自ら安眠を妨害する悪循環に陥っていることになるのです。

 

そして、自分自身だけではなく、なんと乳児にも悪影響が。母乳中のニコチンが乳児の睡眠パターンを混乱させ、睡眠(naps)時間を3分の1短くさせることが、米国の研究で明らかになり、母親が喫煙した際の乳児の睡眠時間は53分で、喫煙しなかった場合には84分だったそうです。それでもまだ、吸いますか?